Big Fish

shio_nin2004-06-23

26日からいっせいにハリーポッターにさし変わるらしく
(はじめてハリーをちょっぴり憎く思った。私も「例のあの人」側になったのね・・・)
なんで、がんばって7時に起きて(私にしては奇跡)、レディースデイの享受を味わうべく日比谷スカラ座へ走った。
六本木との間20分。ぎりぎり。
でも予告編が20分くらいあるので慌てなくてもよかった。
スカラ座は初めて行ったけど、宝塚劇場の地下でいっしょに改築をしたらしくとってもきれいで大きいよい映画館でした。


そして本編。
ティム・バートンもこんな映画を作るようになったのかぁ・・・と大人になったんだなぁと大人に言っても仕方ないけど、すてきなおとなこどもびと映画でした。美しかった。がんばってみてよかった、とひさびさに心からまんぞく。この映画に関わった人全てにお礼を言いたいです。
「ほんとうにこのたびは、よいものをありがとうございました。」


脚本や原案も本人かと思ってたら違ったんだけど、脚本が素晴らしくて、現実とお話のつなぎめや時間軸や伏線がとっても自然で見事でした。
役者さんもとっても似合っていて、とってもじょうずで。
そうそう、スティーブ・ブシェミもやっぱりおいしい役でうれしかった。


みな靴を捨て裸足で暮らす悩みのない街。スペクター。(まぼろし)
会社のじゅうたんを裸足で過ごす私は「これぞ理想郷だ!」とひとり映画館で手を合わせた。
食卓のファイヤーキングマグとか、おねーさんたちの美しくカールされた金髪や腰からふわっとひろがるドレスのラインとか、古きよき幸せだったアメリカの姿が結晶していた。
私は日本人だけど、アメリカの人はよけいぐっときたんじゃないかな。1950年頃の、まだ戦争に負けてないアメリカだ。


で。ブシェミは主人公より先にそのしあわせのまちにたどり着いた詩人。
 12年間この詩に取り組んでいるんだ
 よかったら見せてもらえるかい?
 「草は緑 空は青 スペクターは最高!」
 ・・・
 ・・・まだ未完だって言ったろ。
(正確じゃないけどだいたいね)


お父さんのかたる数千ものエピソードはどれも荒唐無稽でたのしくうつくしくやさしくて。ひとめぼれした女の子の秘密を1月タダ働きして1つずつサーカスの団長に教えてもらって、3年かかってしまったり。窓を開けたら君の好きな1万本の水仙のはらだし。ずっと気になっていたいちめんの黄色い花畑の写真はこれだったのかーときれいすぎて意味なく泣けた。


シニカルでユーモアがあって、こーゆーすてきな人になりたい。つらいときも日々の中に隠れているファンタジーをひょいっとつまんでにっこりウィンクひとつして差し出せる人になりたい。
荒唐無稽。っていい言葉だ。
字幕は戸田奈津子せんせいですよ。
つくづく自分の言葉選びの低レベルさがも・ど・か・し・い!


で、今さらあらすじは
子供だましの作り話ばかりするお父さんにうんざりして次第に疎遠になった息子が、父の死際に「父の本当の姿はなんなんだ?」と今まで聞いた「作り話」を回想しつつ話が進む・・という感じなのですが。


自分、死に近付くとき、その人の人生振り返って、
その死と生の境界にちょっとフィクション交えてというか
静かで平凡な生活を寸劇みたいにちょっとファンタジー
でお化粧してつむぎあげるお話に興味があるのかも知らん。


いろいろあったけど「すばらしきかな我が人生」と思える死に方がいい。
別に大きなことや派手なことはしなくていくて。
小さいささやかな生活があらば。
(でもエドワードは私から見たらそうとうなこと成し遂げた人だけど)


あー。ライフ イズ ビューティフルもよかった。
ベクトル違うけど私脳内分類では近いところにいる映画。
だいすきなものをしまっとく引き出しにだいじにしまっとくのだ。