失楽園 横浜美術館

shio_nin2004-12-05

http://www.yma.city.yokohama.jp/kikaku/fukei/composition.html
開館15周年企画。1870年以降の歴史と芸術の流れを風景表現で追うという軸で。

都市と地方の対比、ユートピア思想の影響、戦争や植民地支配との関係など複数の視点に立って風景表現の多様な展開をたどりながら、その背景にある社会的・政治的文脈をとらえ直そうとするものです。
近代の風景表現を通観するとき、楽園を追放された人間が途方に暮れて立ちすくむ、いわば「失楽園」の眺めをその基本的な条件としていることが判ります。
本展では、「失楽園の時代」にほかならぬ近代にあって、画家・写真家がいかに風景の理想と現実の両極に引き裂かれつつ格闘したか、いのいくつかの様相を、豊富な作品によってたどります。

点数もボリューミーで「こんなところがこんな絵をもってたんだー」というのもいろいろあって、たぶんすごい苦労してあつめたんだろうけど…ちょっと15周年記念にしては弱いなぁと思った。


この軸線でもうすこしいい絵がそろってたら最高だったんだけど・・ちょっとものたりないかんじ。
たとえば欧米列国の植民地時代、各地からもたらされるエキゾシズムのところで。
実際に植民地に行って現地の絵を描いた「名もなき」画家たちの作品から当時を偲んで下さいと解説されても・・・。もちろん絵は上手なんだけど。でもそりゃあ歴史の表舞台にはのこらんかったろうなぁーというかんじ、の絵がちょっと多すぎた。
たんに私の勉強不足もありますが・・。


あと箇条書き
・いきなり普仏戦争から始まって「普って・・どこだっけ?あ。プロシア」とびびった。
1800年代の革背表紙の大判本にときめいた。
・日本が油絵を学び始めた当時の美術雑誌もおもしろかった。
白黒でかそけい印刷でゴーギャンの「新作」が載ってたり(色は想像するしかないよなぁ)
ルノワール肖像画はカラーだったけど、もちろん今ほどの技術ではなくて。
しかも向こうの評論家の和訳も載っていて「今年の作品の中では〜」と書かれていて、今私たちはルノワールの絵なんて「名画」って言われてみんな過去のものとして見ているけど、オンタイムで見ていた人があたりまえだけどいたんだもんなぁーと不思議な気持ちになった。
今ではこーいった展覧会で気軽にそんな名画を直接見られるけど、当時の人は船で長い時間かけてヨーロッパに行ってやっとモナリザとかミケランジェロとかローマの遺跡を見たわけで、その驚きは今以上のものだったんだろうなぁーとか。
1920年頃のアメリカの展示コーナーは全部写真だった。なるほどといえばなるほど。か。
シュルレアリストたちにとっての「蝕」
・そして太平洋戦争へ。焦土と原爆写真でしめるのは・・・ちょっとさみしかったなぁ。きれいぶらないのはいいけど、なにか未来への展望も、正直きれいごとでもいいからほしかった。
(あーでも「失楽園」だからこんな終わり方で合っているのかも)
・浮世絵に影響されまくりな巴里の画家で「エッフェル塔三十六景」とまんまなのがあった。しかも一周してやっぱり日本人好みな絵になっているわけだ。
売店でこれだけほとんどの種類絵はがきになっていて、私ももちろん2枚買ってしまった。
昨日から財布に1000円札一枚しかなくって、さらに入館料払ったので小銭をかき集めて。このぎりぎりの金銭感覚はひさびさで,状況としてはこんな年なのに切ないが、わりと好き。駄菓子屋でいっぱいどの組み合わせで行くか計算して吟味してレジに挑む感じ。
・なんかマイナスばっかり言っているけど、すいててゆっくり見れたしよかったです。
・常設展がテーマが分かりやすく提示したうえで、見やすく小分けされていてとてもよかった。シュールレアリズム作品に強い美術館なんですね。
市民にやさしい美術館って感じがした。やっぱり上野のは国立な訳だし。
横浜ってなんか市民の結束とか文化的意識が強いなぁーと改めて思う。
・あと入り口ホールにあった15年間の展覧会ポスター・図録一挙展示!がおもしろかった。
誰がどのポスターを担当したかが個人的に興味深いのもあったけど。
けっこういろんな人がやっていた。
そして葛西さん仕事はやっぱり知らなくてもいいなと思う中にいっぱい入っている。



あと初めて噂のみなとみらい駅で降りたけどすごい豪華だった。
ビルの地下に直接乗り入れてふきぬけからホームに電車が入ってくるのが見える。
(ヒルズもまねしろ!)
ホームに降りたらかもめの鳴き声もどこからかするし。
駅名のフォントも瀟洒で素敵だ。(iの点がまるくってかわいい。Letter Gothicっぽい?)
さすが横浜から初乗り180円だ。(歩いても行ける、距離なの。に!)



で、手みやげを買って不動産屋で無事契約をすませ、めんどいことの3割くらいは終わったとほっとしたのも。
つかのま。
チャリが盗まれていたり
たかがバケツひとつで母親とけんかしたり(幼稚な)
振り込んだつもりが「○○支店」と「○○駅前支店」をまちがえて届いていなかったり
とせつないオチが待ってました。年末ってせちがらい・・・。